こんにちは。ノブです。
今回は輪行のお話。電車輪行やフェリー輪行など、輪行は世界が広がる素晴らしい移動手段です。その中でも飛行機輪行は、より遠方へ短時間で行けるので上手く活用すると行動範囲が格段に広がります。
定番の方法は段ボールやプラスチック製のハードケースやオーストリッチのOS-500のような厚手で保護機能を高めたソフトケースだと思います。僕自身、これまで3度、OS-500で飛行機輪行をしていますが、特にトラブルに見舞われることなく輪行することができています。
ですが、そうしたハードケースを持っている方は少なく、頻繁に使わないのに保管に場所を取ったりします。それなら電車輪行でよく使われる輪行袋を飛行機輪行で使う手はないものでしょうか?
ネットで調べてみると、一般的な輪行袋での飛行機輪行はリスクがより伴う様子。特にリアディレイラーをどう保護するのか、みなさん、頭を悩ませていました。
一番安全な対策はリアディレイラーを外して保護する方法です。ですが、リアディレイラーを外すと元に戻せないのでは?と不安になる方もいるかと思います。自分もそうした一人で、リアディレイラーを外すことにまだ抵抗があります。
なので、そのままの状態で飛行機輪行を実行しました。これまでANAとスカイマークの2便で実践し、そのどちらも無事に飛行機輪行を成功させることができました。
そこで今回は、リアディレイラーを外さずに保護する形で飛行機輪行する、自分なりのやり方をまとめてみました。
なお、ここで紹介する方法が必ずしも安全を保障するものではありません。実践する際はあくまで自己責任でお願いします。
保護するのに用意したもの
縦型輪行袋
今回の方法は縦型輪行袋で行います。特に縦型を梱包するのに必須となるエンド金具が重要。それと極薄の軽量のものより、多少雑に扱われても丈夫な生地の方が良いです。自分はオーストリッチのL-100とR250の超軽量輪行袋を持っていましたので、今回はL-100を飛行機輪行で使ってみたいと思います。
ディレイラーガード
リアディレイラーが曲がるのは、転倒して横からの衝撃を受けた場合が多いと思います。ディレイラーガードはそうした際に保護するものですので、輪行に使用します。今回の保護の肝になります。
ヘルメット
なぜ?と思う方も多いと思いますが、飛行機輪行でヘルメットをかぶって搭乗する人はいないはずです。余っているならこれも保護に使ってしまいます。養生するためだけの荷物は少なくしたいですし。
リアディレイラーを守る輪行袋への収納の仕方
基本的に通常の縦型輪行袋の収納手順と変わりませんので、要所のみピックアップします。
輪行袋の使い方については、こちらの動画がとても参考になります。
エンド金具にディレイラーガードを取り付け側面を保護
リアホイールからクイックリリースを取り外しエンド金具を取り付ける際、リアディレイラー側の留め具の代わりにディレイラーガードを取り付けておきます。こうすることで預けてある間に転倒してしまったり、物にぶつかった際に側面からの衝撃に対して保護してくれる可能性が高くなります。
別の角度から。ちなみにディレイラーガードが付いた状態だと、ホイールの脱着時にガードがチェーンに当たって取り外しがしにくくになります。輪行だけにこのガードを使うなら、クイックリリースの留め具は忘れずに持っていきましょう。
ギアはアウターローにしておく
これはワールドサイクルの輪行講座で語られているテクニックです。ホイールを外す際はアウタートップにしていることが多いと思いますが、このままだとリアディレイラーが飛び出ているので、転倒したときや物がぶつかったときにトラブルの元となります。
すでにディレイラーガードが取り付けてあるのですが、ロー側に寄せておいた方がより安全ですし、次のヘルメットを利用する際になるべく内側にあった方が都合がよいのでそうしています。
ヘルメットでディレイラー正面を保護
ディレイラーガードで側面は保護できても、正面はがら空きです。プーリー部分は飛び出ているので、そこも保護しておきたい。袋に梱包する際に、プーリー部分を覆うような位置にヘルメットを置きます。その際、チェーンに当たって汚れることがあるので、間に布などを挟んでおきました。
通常の輪行袋でリアディレイラーを外さずに保護する方法は以上です。この位の手間なら誰でもできますし、電車輪行をより安全に行う際にも使えるテクニックだと思います。
飛行機輪行する際の注意点
あとは、空港でチケットを発券して手荷物カウンターで自転車を預けるだけです。
最後に、自分の失敗談も含め、飛行機輪行における注意点をまとめておきたいと思います。
事前の準備について
可燃性のあるものは預けることも持ち込みもNG
飛行機には、可燃性のあるものは原則として手荷物として預けることも機内に持ち込むこともできません。自転車だとパンク修理キットの接着剤です。あとはチェーンオイル。どうやら成分的に持ち込める商品はあるようなのですが、揉める原因にもなりそうですし、飛行機輪行する際はあらかじめ取り除いておいた方がよいです。
凶器となるものは機内持ち込みNG
自転車のツール類で柄の長いものは凶器に該当しないとも言い切れません。可能性があるならば輪行袋と一緒に手荷物カウンターで預けてしまうのが無難です。
また、こうした危険物がないか、空港の保安チェックで輪行袋の中を確認することになるので、ツール類はひとまとめにして輪行袋内の取り出しやすいところに固定しておくと楽です。
リチウムイオン電池は輪行袋内に入れず、持ち込み手荷物として分けておく
リチウムイオン電池の貨物としての運搬には制限があり、貨物として輪行袋と一緒に預けることができません。ですが、手荷物として機内に持ち込むことはできるので、ライトなどに使われているものは予め分けておくと方がよいです。そのためにリュックやサコッシュなど、荷物を入れられる物を用意しておくと良いです。
持ち込める物、NGな物は各航空会社のHPを参照してください。とりあえず、ANAとJALのリンクを貼っておきます。
https://www.ana.co.jp/ja/jp/domestic/prepare/baggage/limit/
https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/baggage/limit/
当日の注意点
時間に余裕を持って空港へ
輪行袋は大型荷物のため、これまで述べたとおり、必ず手荷物カウンターで預かって貰う必要があります。さらに預ける際は保安員による危険物のチェックがあるので余計に時間が掛かります。休日は特に混雑して並ぶことになるので、出発ギリギリではなく余裕を持って到着しておきましょう。
CO2ボンベを預ける場合は、事前に通知をする
パンク修理にはかかせないCO2ボンベ。自転車用のCO2ボンベは16g前後で、基本的に問題のない容量ですが見た目は謎のシリンダーです。手荷物カウンターに保安員がいるケースならその場でチェックが入りますが、そうでなく積載直前にチェックするような場合は、搭乗前に確認のために呼び出しを受けることになります。
これは自分の経験談ですが、スカイマークを利用した際に伝え漏れてしまい、後から呼び出しをかけられ、輪行袋を解いて中を確認する羽目になりましたので、搭乗をスムーズに行うためにも、手荷物カウンターで数と容量を伝えるようにしましょう。
輪行袋は横にして預けられるので天地を確認
一般的な輪行袋で預けると、輪行袋は横倒しにして飛行機に格納されます。そのため、どちらを上にするのかがとても重要。大抵は手荷物の受付時に天地について尋ねられますが、そうでない場合もあり得るので、伝え忘れることがないようにしましょう。
なお、OS-500のようなしっかりとした作りの収納ケースでは、立てたまま運んでくれることもあります。以前、ANAに500を預けた際は天地について聞かれず、問い合わせると立てたまま格納するとのことでした。
従価料金制度で保険を掛けておく
手荷物や身の回り品について破損等の原因が航空会社にある場合、一人あたり15万円まで賠償してもらえますが、自転車は対象外。
手荷物の取り扱いには十分注意いたしておりますが、楽器・スポーツ用品(サーフボード、ウィンドサーフィン用具、スキューバギア、自転車など)・カメラ・パソコン等の電子機器・精密機器・美術骨董品・陶磁器・ガラス製品・酒類などの壊れ易いものは、固有の欠陥、または性質から生じたものである場合には、万一損害が生じてもその責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
https://www.ana.co.jp/ja/jp/domestic/prepare/baggage/checked-in/bicycle.html
ですが、実際の価格が15万円を超える荷物に対して申告価額の賠償が可能となる従価料金制度があります。
搭乗手続き時や手荷物カウンターで行えますので、高級自転車をお持ちの方は制度の利用を検討ください。
https://www.ana.co.jp/ja/jp/book-plan/fare/domestic/guide/charge/
https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/baggage/accident/
保安検査所ではSPDの金具が検査に引っ掛かる場合も
自転車を預けたら、あとは搭乗口へ向かうだけ。その際に手荷物の保安検査所を通過する必要がありますが、金属探知ゲートの中には、SPDのクリートでアラートが鳴る場合があります。2020年9月に行った飛行機輪行では、羽田空港はそのまま通過できましたが、新千歳空港ではひっかかり靴を脱いでサンダルを借りて、再度探知機のゲートを通過することになりました。
着陸後の手荷物受け取りは迅速に
最後はちょっとした気遣いです。目的地に飛行機が着陸したら、手荷物受け取り所へと向かいます。自転車は大型荷物でベルトコンベアーから流れて来ず、係員が直接運んできます。女性の方が運んでくる場合もありますので、見つけたらこちらから歩み寄って引き取るようにしましょう。
まとめ
ここまで一般的な輪行袋による飛行機輪行時の梱包の仕方、輪行時の注意点をお話してきました。
普通の輪行袋で飛行機輪行ができれば、大型のハードケースと違って目的地に着いたあとに空港に預けておく必要はないので、行きは飛行機、帰りは新幹線といった別の移動手段との組み合わせができるのも魅力です。
ただ、どうしても機材の破損は完全には守れません。仮にリアディレイラーが無事でも、他の部分が他の荷物とぶつかって折れたり凹んだりする可能性が十分にあります。
輪行にはリスクが伴うことを忘れず、可能な限り対策して無事にサイクリングができるよう心がけましょう。
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