【特集】『旅ぎゃる!日本じゅーだんチャリきこー』で日本縦断自転車旅を体験してみませんか?

自転車関連本・映像作品

こんにちは。ノブです。

自転車漫画をきっかけにロードバイクを買って旅をするようになった自分にとって、旅を題材にした漫画を読むのが楽しみの一つになっています。

しかし、その中でも「まさに旅!」と思えるような長い期間を掛けた自転車旅を扱う漫画はそこまで多くはありません。知っている範囲で答えると『サイクル野郎』や『びわっこ自転車旅行記』くらいな気がしています。

そんな長距離自転車旅に新たなストーリーを加えてくれたのが、今回ご紹介する川喜田ミツオ先生著の『旅ぎゃる!日本じゅーだんチャリきこー』です。

『旅ぎゃる!日本じゅーだんチャリきこー』ってどんな漫画?

『旅ぎゃる!日本じゅーだんチャリきこー』は、ヤングエースUPで連載中の、鹿児島から北海道まで向かう長距離かつ長期間の自転車旅を題材にした漫画です。

ギャルが自転車で旅る!

鹿児島に住むギャル・道端ミチカ。極度の乗り物酔い体質で、乗り物を想像するだけで吐いてしまうほど…。そんな体質もあり、鹿児島から出ることなく暮らしていたミチカだったが、北海道に住む親友の結婚を祝うため一大決心! 唯一乗れる自転車で鹿児島から北海道を目指すことに…!?

ヤングエースUPより

主な登場人物

道端ミチカ(みちばた みちか)

本作の主人公で鹿児島県指宿市に暮らす女子高生ギャル。極度の乗り物酔い体質のため鹿児島から出たことはありませんでしたが、親友の結婚を祝うために北海道まで自転車で目指すことを決意。

友達思いであり、人とすぐに打ち解ける明るい性格の持ち主。ただ、大雑把で無計画なために失敗することも多々ありますが、持ち前の性格で乗り越えていく力強さも持ち合わせています。

ネイルやデコレーションが得意なため手先が器用。細かで地道な作業を苦にせず、自転車については全くの素人ですが、メンテナンスをこなせるまでに成長していきます。

Pickup

所有自転車:Panasonic のランドナー(バナナちゃん)

単行本第1巻より

旅の序盤に出会ったイチゾーが営む八十島サイクルに眠っていたものレストアし、ミチカがデコったPanasonicのランドナーです。クロモリフレームは振動吸収性に優れており、大陸横断すら可能にしてしまうタフさを兼ね備えています。

フロントキャリアはNITTOのFRONT-M18でしょうか。リアキャリアはミノウラのMT-800Nに似ていますがちょっと自信ないです。メーカー特定はさておき、前後に荷物を積むことができるので、北海道まで旅するミチカにぴったりな仕様になっています。

カスタムオーダー|POS(パナソニックオーダーシステム)|電動アシスト自転車/自転車|Panasonic
ビギナーライダーからエリートライダーまで、そしてデイリーユースにおすすめ。カスタムオーダーならステップに沿ってサイズやパーツを選んで自分だけのバイクをオーダーできます。

山路枝美子(やまじ えみこ)

東京の大学に通う女子大生で、九州へ自転車旅に出かけた際にミチカに出会います。ニックネームは地味子。自信がなく、常におどおどしていて人と関わることもあまり得意ではないですが、いざという時にしっかりと意見の言える心の強さも持ち合わせています。

旅に対する情熱は人一倍あり、自転車についての知識や旅の経験も豊富。ミチカに大きな影響を与えていく、旅の友人であり指導者的な存在です。

Pickup

所有自転車:GIANT のクロスバイク

単行本第1巻より

地味子の選んだGIANTのESCAPEは、日本でもメジャーなクロスバイクであり、ダボ穴が標準で付いているので旅仕様にカスタマイズしやすいという特徴があります。GIANTはかつて、グレートジャーニーといった旅仕様のロードバイクを販売していた実績もあるので、堅実な地味子にぴったりの1台だと思います。

2024 GIANT Bicycles | CROSS BIKE FINDER
RIDEUNLEASHEDわたしたちGIANTは、魅力的で幅広い製品ラインナップを通じて、世界中の人々を自転車というすばらしい冒険へと駆り立ててまいります。

島津雫空(しまづ しずく)

島津財閥のひとり娘で島津コーポレーションの副社長。お嬢様気質で庶民を下に見ている物言いをしてしまいますが、自転車を始める動機は従業員との距離を詰めるきっかけづくりになればとの思いから。

そのため、自転車に関しても旅に関しても、まったくの素人。偶然知り合ったミチカの旅に興味を持ち同行することになります。

Pickup

所有自転車:DE ROSAのロードバイク

単行本第1巻より

DEROSAの高級カーボンロードを旅仕様にした恐ろしいロードバイクです。流石はお嬢様のロードバイクといったところですが、そんなロードバイクに一般的なキャリアの取り付けは困難。これは恐らくTalifinですね。このキャリアはカーボン素材で軽量、かつクイックリリースで取り付けられる簡易さを兼ね備えているので、ロードバイクを旅仕様にしたい方にオススメ。自分も日本一周で使うか検討したことがありますが、高くて諦めました(笑)

Front page
Technical Bikepacking Equipment
Racksandbagsfortheultimateracingandbikepackingadventuresorsimpleday-to-daycommutes.Beautiful,lightweight,andeasytouse.

『旅ぎゃる!』の魅力って?

ギャルがランドナーに乗って旅をする意外性

主人公のミチカは生粋のギャルです。しかもJKです。

自分が日本一周をしていた時も、車やバイクに乗った日本一周女子に会ったことはありますが、自転車にキャンプ道具を積んで長距離の旅をする女の子を見かけたことがありません。

そのため、最初にこの漫画を読んだとき、「また突飛な設定の漫画が出てきたな」と苦笑いしたのを覚えています。

でも、よくよく考えてみれば、現実にいる自転車乗りだって、東京-大阪間を24時間で駆け抜けたり、天気予報を覆して雨を降らすシャーマンがいたり、PBP(パリブレストパリ。90時間で1,200kmを走るブルベ)を完走するランドヌーズがいたりと、人間をやめているような方々が跋扈しています。

なので、「まあ、ギャルが自転車で旅したっておかしくないよな」と、突飛な設定を案外簡単に受け入れることができました(笑)

そして、ミチカが乗るのがランドナーというのもこれまた渋い。ランドナーとはフランス発祥のツーリング用自転車で、太いタイヤで荷物がたくさん積めて、とにかく頑丈なことが特徴です。

日本では1970~80年代頃のサイクリングブームを機に普及しましたが、道路が整備された近年では、ロードバイクが長距離移動の手段に取って代わり、さらに荒れ地向けはMTBが普及するなどして、現在の主流ではなくなってしまっています。

そんな時代から取り残されたランドナーを時代の最先端を行くギャルが跨がり旅をする。この一風変わった組み合わせは、現代の若いサイクリストからひと世代前のおじさん世代まで、広く刺さるのではないでしょうか。

長旅ならではの過ごし方

数週間、数ヶ月掛けるような長旅の場合、その日の宿をどうするかが日々の課題になります。毎日ホテルに泊まれれば良いのですが、ミチカはまだ女子高生。そんな裕福な旅ができるはずもありません。

日本一周をするチャリダーの多くが、キャンプ道具を積んで野宿したり、格安のキャンプを利用したりしています。時には人の家にお世話になったり、都市部ならインターネットカフェを活用するというのが一般的です。

この『旅ぎゃる』にも、彼女らがそんな旅人であるということが描かれていて、パニアバッグを積んで旅をしたことのあるチャリダーの方なら共感できる点が多いのではないでしょうか。

実際にミチカ達の旅路を辿れる

映画やドラマ、漫画やアニメなど作品で登場したロケ地を巡ることを『聖地巡礼』と言い、今や空前のブームとなっています。

『旅ぎゃる』でも、ミチカ達が旅した過程で登場するほとんどが、現実に存在する場所が舞台となっているようです。そして、それらがとても細かく描かれており、作中に地名も明記してあります。

池田湖のイッシー像


熊本城

Pages
今こそ見てほしい熊本城。平成28年熊本地震で大きな被害を受けた熊本城ですが、二の丸広場や加藤神社から、天守閣等を見ることができます。熊本城の復旧状況のお知らせや、二の丸広場等を活用したイベント情報も随時更新しております。熊本城修復の支援を募る「復興城主」制度も情報を掲載しています。

阿蘇のミルクロード


コミックス各巻の最後には、ミチカ達が走った道がイラスト化されているので、ルートマップとしてとても参考になります。実際に現地を走って、ミチカ達の旅を辿ってみてはいかがでしょうか。

旅をするなら外せないご当地グルメ

自転車旅が車やバイクの旅と決定的に異なる点は、消費カロリーの多さでしょう。自転車を1時間漕ぐことで消費するカロリーは、400~500キロカロリーにもなります。

空腹は最高のスパイスとはよく言ったもので、旅先で食べる食事はどれも絶品。それがその土地ならではのグルメなら尚更です。

上の写真は鹿児島市にある天文館むじゃきの”白熊”。鹿児島でも有名なご当地スイーツです。かき氷ですが、これ一杯でお腹が膨れるほどのボリューム感がありますので、心して挑んでください。

氷白熊(しろくま)の本家 - 天文館むじゃき
こちらは、氷白熊の本家、天文館むじゃきのコーポレーションサイトです。天文館むじゃきでは、白熊(しろくま)はもちろん、鹿児島の食材を使った郷土料理などを中心に、鉄板焼き、甘味、洋食、和食といった多種多様な料理をご用意し、皆様をお待ちしております。尚、白熊は店内でお召し上がり頂くだけではなく、お持ち帰り、地方発送も可能です...

最大の謎!?みちかはどうやって北海道に渡ったのか?

これは個人的に一番気になっていることなのですが、ミチカは極度の乗り物酔い体質として描かれ、乗り物を想像するだけで酔ってしまいます。そんな彼女の目的地は北海道。鹿児島から北海道へ向かうには、陸路を通るにも限界があります。

そう、津軽海峡です。津軽海峡を渡る手段は3つ。一つ目は飛行機を使う方法、二つ目は本州のどこかでフェリーに乗る方法、そして最後に電車で青函トンネルを通過する方法です。そのどれもが乗り物に乗らなければならないわけです。

果たして、ミチカはこの旅で極度の乗り物酔いとどのように向き合い克服するのか、はたまたどんな意外な手段で北海道へと渡るのか、それがこの物語の最大の見どころではないでしょうか。

無料試し読みはできる?

ヤングエースUPから第1~3話、そして最新話を含めた直近の3話が無料公開されています。ここまでで興味を持っていただけたなら、ぜひとも試し読みをお願いします。

各話一覧|旅ぎゃる!日本じゅーだんチャリきこー - 川喜田ミツオ|ヤングエースUP
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発売中のコミックス情報!

現在、第1~2巻までが紙の書籍と電子書籍の両方出ています。無料公開分の話数を読んで気になった方はぜひ手に取ってみてください。

第1巻

鹿児島に住むギャル・道端ミチカ。極度の乗り物酔い体質で、乗り物を想像するだけで吐いてしまうほど…。だが、北海道に住む親友の結婚を祝うため一大決心! 唯一乗れる自転車で鹿児島から北海道を目指すことに…!?

ヤングエースUPより

第2巻

頼れる自転車旅の先輩・地味子と、共に旅をすることになったミチカ。過酷な山道を越えて鹿児島を脱出したミチカを待ち受けていたのは、「火の国」熊本の雄大な自然や極上グルメ、そして新たな旅の仲間…!?

ヤングエースUPより

第3巻

島津財閥のお嬢様・シズルを仲間に加え、仲良く(?)旅を続けるミチカ達。ついに福岡県・小倉へ到着した3人だったが、その時、地味子の様子が…!? JKギャルの日本縦断自転車紀行、感動の最終巻!

ヤングエースUPより

まとめ

とても意外性のあるキャラが自転車旅をしますが、その旅の仕方は、日本一周チャリダーから見ても「こんなことあるよな」と思えるものばかりです。

これからミチカ達がどんなルートを辿るのか。そして、様々な人と出会い、そこで見た景色にどんな思いを馳せるのか、これからが楽しみです。

作者の川喜田ミツオ先生が仰っていますが、5月1日に発売された単行本最新第2巻が、連載継続をかけた勝負の巻となっています。是非とも売上を伸ばして、ミチカの旅を余すことなく描いて欲しいなと思っています。


最後に、旅ぎゃるについて気になることをもう一つ。これはTwitter上で呟かれていた疑問なのですが、もし北海道まで辿り着いたミチカが乗り物酔いを克服できていない場合、鹿児島まで同じように自転車で帰ることになります。

それってつまり……日本一周するってことじゃないでしょうか。ミチカの帰路も気になりますね。

自転車関連本・映像作品
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この記事を書いた人
ノブ

『ろんぐらいだぁす!』をきっかけに'17年春からロードバイクを始めたキャンプ、登山、馬、サブカル好きなサイクルツーリスト。
 
グルメと絶景を求め各地を巡るロングライド自転車旅行記にブルべ挑戦記、サイクリングの便利グッズやキャンプギアのインプレ、自転車関連の書籍や映像作品のレビューをブログ『ツール・ド・気ままに』で公開中。
 
'19年に日本一周15,594km(172日間)を完走。'20年からブルベに参加し、'20~'23年はSR獲得。ブルベの最高峰PBP完走が今の目標です!

'22年よりNPO法人引退馬協会のFP会員として活動。引退馬支援とともに乗馬も少しずつ始めています。
 
◇所有自転車
KhodaaBloom FARNA 700-105
Birdy Standard Disc
 
ヘッダー画像のキャラクターは『びわっこ自転車旅行記』の大塚志郎先生に描いていただきました。
 
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