こんにちは。ノブです。
今回はpayanecoさんが企画する『ロードバイク Advent Calendar2022』に参加し、17日目を担当します。
テーマは表題の通り、今年から始めた馬産地サイクリングについて。その魅力や注意点、おすすめグルメなどをまとめています。サイクリスト目線の馬産地ガイド的な構成ですので、気になるところから見てもらってかまいません。

- 序文:馬産地巡りをした経緯
- 前知識①:日本一の馬産地、日高地方ってどこにある?
- 前知識②:【重要】馬産地巡りで気を付けること!
- 前知識③:訪れるのにベストな時期は?
- 前知識④:馬産地巡りに適した自転車とは?
- 前知識⑤:走るなら海沿い?内陸?日高地方の地形について
- 馬産地巡りの楽しみ方①:牧場見学!存命のウマ娘モチーフの元競走馬たちに会いに行こう!
- 馬産地巡りの楽しみ方②:名馬のお墓参りをしよう!
- 馬産地巡りの楽しみ方③:馬事資料見学!
- 馬産地巡りの楽しみ方③:馬産地をサイクリングしてみよう!
- 馬産地巡りの楽しみ方④:乗馬してみよう!
- 馬産地巡りの楽しみ方⑤:ご当地グルメを食べよう!
- 馬産地巡りの楽しみ方⑥:馬産地に泊まろう!
- まとめ
序文:馬産地巡りをした経緯
自信満々に取り上げている馬産地巡りの旅ですが、実はウマ娘から競馬の魅力を知った人間です。いうなれば”にわか”。それがあれよあれよと沼にハマり、今ではNPO法人引退馬協会の会員になって引退馬支援をするまでになりました。
元々、『ろんぐらいだぁす!』をきっかけにサイクリングを始めたため、アニメなどの舞台を聖地巡礼をするのが好きで、舞台となった景色やお店、グルメなどを楽しんできました。ですが、ウマ娘に関してはモチーフになった競走馬が存在しています。その馬が今も生きているとなれば、「実際に会ってみたい」と思うのも自然な成り行きだったのかもしれません。
そこで今年の9月と10月の連休を利用して、ウマ娘となった元競走馬に会いに北海道へサイクリングに出かけることにしました。
前知識①:日本一の馬産地、日高地方ってどこにある?
さて、ウマ娘のモチーフとなった馬たちがどこで暮らしているかというと、そのほとんどが北海道の日高地方に集中しています。

位置関係
日高地方は北海道南部の太平洋沿いにあり、日高町、平取町、新冠町、新ひだか町、浦河町、様似町、えりも町の6つの町で構成される振興局(※行政上の地域区分のひとつ)です。面積は4811.97㎢で、だいたい和歌山県や福岡県と同じくらいの広さがあります。
産業
主幹産業は、農業、酪農、水産業、そして、軽種馬の生産・育成。特に軽種馬の生産は日高地方だけで全国の84%を占め、さらに北海道全体も含めると全国の91%(※馬産地をめぐる情勢 – 農林水産省より参照)を生産しているのだそうです。
気候
気候は北海道の中でも比較的温暖。南北に連なる日高山脈のお陰で冬の寒気が入りにくく、さらに沿岸部は太平洋の海水温に影響を受けています。そのため、真冬でも積雪がない場合もあり、30cm以上積もることも稀。つまり、北海道の中でも長い期間サイクリングがしやすい地域と言えるわけです。
交通手段
交通手段の代表的なものとして鉄道が挙げられますが、JR日高本線が2021年3月に廃止されてしまいました。これがかなりネックで、例えば新千歳空港から浦河町まで行こうとすると、その距離は最短でも140km。自走以外に高速バス輪行、レンタカーでトランポといった手段は使えますが、気軽にできる電車輪行が使えないという、サイクリストにとっては些か不便なエリアとなってしまっています。

前知識②:【重要】馬産地巡りで気を付けること!
馬産地を訪れるにあたり、最も気を付けなければならないのが馬産地特有のマナーについてです。このマナーについては訪問前に念入りに調査しました。
そもそも馬産地は観光地ではありません。都市部に暮らす人々が理解しやすいように例えるなら、会社・工場の集まっているようなビジネス街や工業地帯です。愛情を込めて育てている馬たちは、生活の糧となる大事な商品なのです。
そのため、動物園やふれあい牧場のような観光感覚で馬と接すると顰蹙を買いますし、牧場に無断で訪問などすれば、最悪、牧場見学が禁止になる恐れもあります。
実際、問題行動を起こす観光客が後を絶たずに牧場関係者は頭を悩ませており、自治体からも『牧場見学の9箇条』が掲示されています。マナーについては、以下の記事にまとめています。サイクリストが現地を訪れた際に気を付けるべき点も記載していますので、ぜひ、ご一読ください。
前知識③:訪れるのにベストな時期は?
もちろん、一年中訪れることができますが、いつでも牧場が見学可能というわけではないということを知っておいてください。そして、馬産地で見学できる馬には大きく分けて『種牡馬』と『引退馬』が暮らしており、見学タイミングは違います。
種牡馬に会いたいなら8月~10月頃がオススメ
種牡馬に会いたいなら8月~10月頃がオススメです。
これは地場産業である軽種馬の生産に関連しています。北半球では馬は春に繁殖シーズンを迎えます。繁殖牝馬の妊娠期間は平均で340日間。生産牧場にとって出産シーズンとなる1月~6月は繁忙期です。さらに出産を終えると次の種付けが1カ月の間に行われるケースが多く、2月~7月の種付けシーズンも忙しい時期となります。
種牡馬を繋養する牧場では繁忙期の見学を受け付けていない場合が多く、一度の訪問で沢山の元競走馬を見学したいのであれば、繁殖シーズンの落ち着いた秋口から訪れると、旅をより楽しめるかと思います。
引退馬に会いたいなら、今すぐ行くべき!
ただし、種牡馬を引退するなどして第三の馬生を歩んでいる引退功労馬はまた別です。彼らは先に説明した生産サイクルから外れているため、繁忙期でも見学を受け付けている場合があります。そして、高齢でいつ天寿を全うしてもおかしくありません。
自分は今年8月に老衰で亡くなったタイキシャトルに会うチャンスを逃してしまい、もの凄く後悔しました。会いたい馬がいて見学を受け付けているのなら、今すぐにでも行くべきです。
前知識④:馬産地巡りに適した自転車とは?
もちろん、どんな自転車でも馬産地巡りの旅はできます。馬産地にはロードバイクと折りたたみ自転車でそれぞれ伺いましたが、個人的に便利だったのは『折りたたみ自転車』でした。それは以下の理由からです。
見学がメインでロングライドになりにくい
馬産地に行く1番の目的が、かつての競走馬を生で見られる牧場見学です。見学時間は牧場毎に違うため、自転車で一日に回れるのは1~2ヵ所くらいで、旅の行程は下のような感じでした。
宿を出発⇒見学時間までサイクリング⇒牧場見学(1~2時間)⇒次の見学までサイクリング⇒牧場見学(1~2時間)⇒チェックインまでサイクリング⇒宿に到着
町と町と移動は距離がありますのでそこは頑張って走るしかありませんが、一つの町内で完結する場合もあり、牧場見学を主体とすると一日の移動距離が短くなる傾向があります。
サイクルラックが少ない
日高管内を散策して分かりましたが、サイクルラックの設置数は多くありません。道の駅や宿泊施設等でたまに見かける程度。まして見学先の牧場にあるはずもありません。牧場見学の場合、ロードバイクは駐車場のアスファルトに横にして置く(※芝生進入禁止の牧場もあるため)ことになるので、スタンドの付いた自転車の方が望ましいと感じました。

鉄道が廃線され、高速バスが移動手段
現在の日高管内に鉄道路線はありません。かつては様似町まで伸びていたJR日高本線は2021年3月に廃止されてしまいました。
日高地方を走っていると「ここで輪行ができれば……」と思う機会がよくあり、この廃線がサイクリストを遠ざけている気がしてなりません。

代わりの手段はバス。高速バスを利用した輪行が可能なことは実際に試して確認済みです。ですが荷物を置けるスペースは限られているため、なるべくコンパクトになる折りたたみ自転車の方が都合が良いと感じました。

前知識⑤:走るなら海沿い?内陸?日高地方の地形について
折りたたみ自転車がよいと言う話をしましたが、ひとつ問題があります。それは日高地方の地形についてです。
下図は国土地理院にあった北海道の標高を色分けした地図で、ちょうど日高地方を拡大して切り抜きました。青が低地を表し、そこから緑⇒黄色⇒茶色となるにつれ標高が高くなります。
この地図から分かるのは、日高地方は平野ではないということ。川の浸食によって僅かな平地が作られている起伏のある地形となっています。

起伏のある地形なら、実際にどこを走るのが楽なのか。海沿いの国道235号線と内陸の道道1025号線をそれぞれ新冠町から浦河町まで走ってみたことがありますが、最終的な獲得標高は倍近く違うことが分かりました。また、それ以外に海沿いと内陸の道の違いについて列挙しておきます。
海沿いのメリット
- アップダウンが少ない
- 太平洋を眺めながら走れる
- 牧場も比較的多く、馬産地サイクリングも楽しめる
- コンビニが比較的多く道の駅もあり、補給やトイレ休憩が楽
海沿いのデメリット
- 国道のため交通量が比較的多く、バスやトラックなど大型車も通る
内陸のメリット
- 車がほぼ通らない。1時間に数台通るくらい。
- 馬や牛しかいない。牧場の見える道をがっつり走れる。
- 高台から放牧地を俯瞰するように見られる場所もある。
内陸のデメリット
- アップダウンが激しく、同じ目的地に行くにも獲得標高が倍になる。
- コンビニが極端に少なく補給が難しい。
馬産地巡りの楽しみ方①:牧場見学!存命のウマ娘モチーフの元競走馬たちに会いに行こう!
ここからは馬産地の魅力を紹介していきます。
タイトルにあるとおり、北海道の日高地方には、ウマ娘のモチーフになった元競走馬が今も元気に余生を送っています。ここで紹介するのは、旅の中で見学できた現役種牡馬、引退功労馬たちです。
ウイニングチケット
浦河町の浦河優駿ビレッジAERUにて余生を過ごすウイニングチケットは、1993年の日本ダービーの優勝馬。そして、存命の最年長G1優勝馬です。その年齢は32歳(※2022年当時)。人間に換算すると90歳近くになります。しかし、衰えを感じさせない立派な体つきはスタッフを感嘆させるほどで、今も元気に過ごしています。

訪問方法・注意事項など
※追記
ウイニングチケット号は2023年2月18日に疝痛のため亡くなりました。享年33歳でした。彼を偲ぶお別れ会が5月27日に執り行われ、お墓が新ひだか町の桜舞馬公園に建てられています。
エイシンフラッシュ
ミルコ・デムーロ騎手とともに2012年の天皇賞秋(G1)を制したエイシンフラッシュは、新ひだか町のレックススタッドにて種牡馬として第二の馬生を送っています。
エイシンフラッシュにとって2022年は、産経杯(G3)を制したオニャンコポンやジャパンカップ(G1)を制したヴェラアズールなど、産駒が躍進する年となりました。

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ゴールドシップ
G1通算6勝とともに破天荒な振る舞いで記録にも記憶にも残るゴールドシップは、新冠町のビッグレッドファーム明和にて、種牡馬として第二の馬生を過ごしています。元々人気のある馬でしたがウマ娘化してさらに高まり、彼の周りには見学者が絶えません。

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スマートファルコン
砂のサイレンススズカの異名を持つダート競走馬で、重賞19勝(うちG1級6勝)を挙げた名馬です。
彼も現役の種牡馬で、現在の繋養先はエイシンフラッシュと同じレックススタッド。ウマ娘でもエイシンフラッシュとルームメイトですが、それは2012年のドバイワールドカップへ共に出走したことが理由とされています。ですが、こうして同じ牧場で過ごしているのを見ると、ファンとしてはなんだか嬉しくなります。

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タニノギムレット
2002年の日本ダービーの優勝馬であり、64年ぶりに牝馬で日本ダービーを制したウオッカの父です。両馬共にウマ娘化し、親子の共演を果たしています。
繋養先はYogiboヴェルサイユリゾートファーム。柵を蹴り上げて壊すことでも有名で、その対応に頭を悩ませた牧場スタッフは、壊れた牧柵を加工したグッズを販売することを思いつきます。するとこれが反響を呼んで即完売。自ら壊して自ら稼ぐ、希有な馬でもあります。

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ナイスネイチャ
G1勝利こそ無いものの、有馬記念3年連続3着など、記憶に残る名脇役として人気を誇ったのがナイスネイチャです。存命の重賞勝利馬では現在最年長。その年齢は34歳(※2022年当時)で、人間に換算すると100歳近くになるお爺ちゃんです。現在は彼の生まれ故郷であり、養老牧場として営む渡辺牧場にて余生を送っています。
NPO法人引退馬協会が設立初期から支えてきた馬であり、引退馬支援の広報部長としての役割を担っています。そして、ウマ娘化されたことで人気が爆発。2022年に行われた『ナイスネイチャ・34歳のバースデードネーション』では5,400万円もの支援金が集まり、ネットニュースにも取り上げられました。

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※追記
ナイスネイチャ号は2023年5月30日に亡くなりました。享年35歳。その日はとても穏やかな青空で、渡辺牧場のスタッフ、FP会員の方に看取られ、安らかな最期だったようです。
「渡辺牧場だより」更新しました。
— 引退馬協会 (@rhainfo) June 7, 2023
「ナイスネイチャ 最後のご報告」https://t.co/STr9XuqKZU
ナイスネイチャの食が落ち、体調が変化した5月以降の闘病記録。#ナイスネイチャ を長年支え、献身的なケアを続けてこられた渡辺はるみさんによるご報告です。#引退馬協会 #フォスターホース#渡辺牧場 pic.twitter.com/V1t2yJZcfX
ナカヤマフェスタ
2010年の宝塚記念の勝利馬で、同年の凱旋門賞ではアタマ差の2着と好走しました。現在は新ひだか町のアロースタッドにて種牡馬生活を送っています。
ステイゴールド産駒は気性が荒いことで知られていますが、ナカヤマフェスタは比較的穏やか。ですが、気分屋な面もあり、牧場見学では興味津々に馬房から顔を出す馬がいる中、マイペースに飼い葉を食べて顔を出さず、最後の最後でようやく写真が撮れました。

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ホッコータルマエ
東京大賞典連覇、川崎記念3連覇などG1級を10勝したダート界の名馬です。2013年にNAR特別賞、翌2014年はJRA最優秀ダート馬を受賞。オーナーが苫小牧の名士という経緯から『とまこまい観光大使』にも任命されました。
最近ではウマ娘化もされたことで一般認知度も上がり、人気急上昇中。この日も多くのファンが馬房の前に詰めかけていました。なお、写真は優駿スタリオンステーションで撮影したもので、現在は浦河町のイーストスタッドで繋養されています。

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メイショウドトウ
主な勝ち鞍は2001年の宝塚記念(G1)です。G1を1勝に留まったのは、同期にテイエムオペラオーがいたためで、2着に甘んじること5回。6度目の正直でテイエムオペラオーを下して念願のG1馬となりました。
現在は功労馬としてNPO法人引退馬協会に譲渡され、新冠町のノーザンレイクで余生を送っています。ドットさんの相性で親しまれており、ノーザンレイクさんの投稿するSNSでは愛くるしい姿を見せて大人気です。

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ワンダーアキュート
2012年のJBCクラシックで勝利し、鞍上の和田竜二騎手にテイエムオペラオー以来11年ぶりのG1級勝利をもたらしたダート界の名馬です。9歳まで現役を続け、2015年のかしわ記念を平地GI級レース最年長記録で勝利。現在はアロースタッドで種牡馬として第二の馬生を送っています。

訪問方法・注意事項など
馬産地巡りの楽しみ方②:名馬のお墓参りをしよう!
ウマ娘化されている競走馬たちは80年や90年代に活躍した馬が多く、実はその多くが天寿を全うしています。ですが、彼らの功績は色あせることはありません。牧場関係者らによりお墓が作られていることもあります。
日高町:西山牧場(セイウンスカイ・ニシノフラワー)
日高町の西山牧場では、セイウンスカイとニシノフラワーの2頭のお墓参りができます。牧場の敷地内から門別競馬場が見える静かな場所でした。


訪問方法・注意事項など
平取町:稲原牧場(サイレンススズカ)
影をも踏ませぬ逃亡劇を見せて人々を魅了し、天皇賞秋で予後不良となったサイレンススズカは、生まれ故郷の稲原牧場の一角でひっそりと眠っています。

訪問方法・注意事項など
新冠町:白馬牧場(テイエムオペラオー)
2000年に年間無敗記録を樹立しG1を7勝。当時の世界最高額の18億円を稼いだテイエムオペラオーは新冠町の白馬牧場に眠っています。

訪問方法・注意事項など
新冠町:優駿メモリアルパーク(オグリキャップ・キングヘイロー・ナリタブライアン・マヤノトップガン・ヤエノムテキ・ユキノビジン)
種牡馬を繋養する優駿スタリオンステーションに隣接する優駿メモリアルパークには、この牧場で種牡馬として活躍した名馬たちの墓碑が作られています。ウマ娘化された名馬も数多く眠っていました。






訪問方法・注意事項など
新ひだか町:桜舞馬公園(サクラチヨノオー・サクラローレル・メジロライアン・タイキシャトル・タマモクロス)
地元の憩いの場として親しまれている桜舞馬公園(オーマイホースパーク)には、日高に縁のある名馬たちの共同墓地があります。
ここにもウマ娘でお馴染みのタマモクロスやタイキシャトルといった往年の名馬たちが眠っています。





訪問方法・注意事項など
馬産地巡りの楽しみ方③:馬事資料見学!
馬産地で見学できるのは、馬だけではありません。競馬に関わる資料館を見て回るのも楽しみの一つです。
新冠町:優駿メモリアルパーク
優駿メモリアルパークにある優駿記念館では、優駿スタリオンステーションに種牡馬として繋養されたオグリキャップやマヤノトップガンらの展示を見ることができます。展示は無料で見学できますので、名馬のお墓参りと合わせて、こちらも訪れてみてください。


新冠町:ナリタブライアン記念館
新冠町にある『道の駅 サラブレッドロード新冠』の一角には、史上5頭目のクラシック3冠馬のナリタブライアンにまつわる展示コーナーが設けられています。見学は無料で規模は小さいですが、1頭に絞った凝縮された展示となっています。



新ひだか町:地域交流センター ピュアプラザ町民ギャラリー「うま倶楽部」
1階はカーディーラーや八百屋などが入る商業施設で、2階の一角に競走馬の展示コーナーが設けられています。馬の歴史から今をときめく現役馬タイトルホルダーの優勝レイなど、これが無料なのかと驚くボリューム感。自由に見学できるのに訪れた時はだれもおらず、知る人ぞ知る穴場スポットでした。


浦河町:浦河優駿ビレッジAERU
ウイニングチケットら功労馬が暮らす浦河優駿ビレッジAERUには、この牧場で晩年を過ごした往年の名馬たちに関連する品々が展示されています。宿泊者以外でも展示の見学は可能で、もちろん無料。施設の大浴場は500円で利用できるので、汗を流すついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

馬産地巡りの楽しみ方③:馬産地をサイクリングしてみよう!
牧場見学よりも、とにかくその地域を走りたいというサイクリストもいるかと思います。ここでは馬産地ならではの景色が見られる場所をご紹介します。
新冠町:サラブレッド銀座
馬産地日高を象徴する場所が、新冠町にあるサラブレッド銀座です。国道235号線の分岐を起点に約8kmに渡って道の左右に軽種馬の牧場が広がっています。

JRA展望台
浦河町にはJRAが管理する日高育成牧場があり、その広さはなんと1504.8ヘクタール。その敷地の一角にあるJRA展望台では、日高育成牧場の総合施設が一望できます。これも馬産地ならではの景色と言えるのではないでしょうか。

カントリーサイン巡り
町と町との境にあるカントリーサインは北海道が発祥で、その町の特徴をよく現したイラストが目を引きます。日高地方の町にもカントリーサインはもちろんあり、馬がモチーフになったデザインです。
ですが、同じモチーフでも町の特色をしっかり出していますので、どんなカントリーサインなのかを探してみてはいかがでしょうか。



馬デザインオブジェを探してみる
サイクリングは、普段なら見過ごしがちな何気ない景色に気付かせてくれる瞬間でもあります。そうした観察眼を持って散策すると、馬産地ならではの景色が見えてきます。
例えば、町の街灯に目を向ければ、そこにも馬がデザインされています。そのほかにも日常に溶け込んだ馬デザインがけっこうありますよ。

ウマ娘等身大パネル巡り
日高地方の7つの町とウマ娘がコラボし、各地に等身大パネルが設置されています。日高7町の広さは和歌山県や福岡県と同じくらいあり、自転車で巡るのは少し骨が折れますが、ウマ娘から馬産地を知る良い機会になりました。
馬産地巡りの楽しみ方④:乗馬してみよう!
せっかく日高地方を訪れたのなら、乗馬もしていきましょう。馬は道路交通法上は軽車両に分類され、いうなれば自転車の仲間です!
ただし、乗馬をするには予約が必要です。場内を1周歩くだけの引き運動なら飛び込みで体験できるところも多いですが、せっかくの北海道。できれば場外に出て自然豊かな道を歩きたいですよね。
外乗ができる乗馬施設は、浦河の『優駿ビレッジ アエル 乗馬クラブ』、新冠町の『遊馬らんどグラスホッパー』、新ひだか町の『ライディングヒルズ静内』など、候補がいくつも出て来ます。ですがどこも人気で、場所によっては半年先まで予約が埋まっているなんてこともあり得ます。
そんな中、初心者向きの体験乗馬の予約が比較的取りやすいのは、『新冠ホロシリ乗馬クラブ』だと思います。

ここには競走馬から転向した馬も沢山います。運が良ければコパノリチャードというG1馬にも乗れてしまいますよ。

馬産地巡りの楽しみ方⑤:ご当地グルメを食べよう!
続いてはグルメスポット。サイクルラック設置店が少ないのがネックですが、美味しいグルメは沢山あります。ご飯もしっかり食べてサイクリングをしていきましょう。
日高町:『カフェ勇輪』のオムライス
日高町の国道235号線沿いにあるカフェ勇輪は、ツールド北海道やジャパンカップに出場していた元自転車ロードレーサー小橋選手のご実家です。
個々の料理のクオリティが非常に高く、今回オススメするオムライス以外に、ハンバーグやカレー、ローストビーフ丼など食べてみたい料理が目白押しです。
サイクルラックもあり、気軽に立ち寄りやすいのもサイクリストにとって有難いですね。

日高町:Yogiboヴェルサイユリゾートファーム『びらとり牛のハンバーガー』
タニノギムレットらが暮らすYogiboヴェルサイユリゾートファームには敷地内にカフェが営業しており、軽食がいただけます。
その中でオススメなのが、隣町の平取町のブランド牛を使ったハンバーガーです。肉感のしっかりあるパティに北海道産の野菜たち。フライドポテトも甘味とホクホク感のある揚げ具合で最高でした。

新冠町:道の駅サラブレッドロード新冠『ピーマンソフトクリーム』

物産館のピーマンソフトクリーム。特産品のピーマンを練り込んだソフトクリームで、一口目は明らかにピーマンの風味がします。苦味はそれほど強くないものの、この青臭さはピーマンならでは。慣れてしまうとそれがアクセントとなって癖になる美味しさです。
新ひだか町:静内エクリプスホテル『つぶめし』
太平洋に面した日高地方は、真つぶの産地。静内エクリプスホテルでいただいてきました。火が通っても身はしっかりとしており、コリコリとして噛めば噛むほど旨味が出てきます。その旨味はご飯にもしっかり染み込んでいて抜群に美味かったです。

新ひだか町:焼きカレーDining フリージア『みついし牛のハンバーグのせポーク焼きカレー』
新ひだか町の繁華街から少し外れた場所にある、焼きカレーが美味しい地元の隠れた名店です。写真は地元ブランド『みついし牛』ハンバーグをトッピングした焼きカレーで、運ばれてきたときはグツグツ煮込まれアツアツの状態。ピリ辛なカレーはチーズでコクがプラスされ、マイルドな味わいでした。
他にも色々なトッピングのカレーが楽しめるので、近所にあれば通いたいくらい美味しかったです。

浦河町:浦河かつめし
浦河町のソウルフードとも呼ばれるのが『浦河かつめし』です。カツ丼の派生系で、醤油ベースの甘辛いタレが特徴で飽きのこないコクと旨味があります。
まかないとして考案され今では町の至る所で提供されている浦河かつめしですが、トッピングや豚かつの厚さ、そしてタレの味など店舗毎に違うのだそうです。

浦河町:松山『マツカワ漬け丼』
浦河町は白身の高級魚である松川カレイの産地。『王蝶(おうちょう)』ブランドの松川カレイは資源保護の観点から35cm以上の大物に限られます。その漬け丼が浦河町の『お料理 松山』でいただけました。
身は脂が程よく乗りコリコリとした食感。エンガワも脂の旨味が味わえます。同じ高級魚のヒラメと比べても遜色ないですし、もしかすると、こちらの方が美味しいかもしれません。

馬産地巡りの楽しみ方⑥:馬産地に泊まろう!
存分に馬産地巡りを楽しんだなら、現地に泊まってみてください。そもそも電車輪行ができないので日帰りするのは困難という事情もありますが、魅力的な宿泊施設が沢山あります。
Yogiboヴェルサイユリゾートファーム
タニノギムレットらが暮らすYogiboヴェルサイユリゾートファームは、なんと牧場に宿泊することができます。窓から放牧地が望め、宿泊した部屋からはタニノギムレットの姿が見れました。宿泊者限定で早朝の厩舎見学ができたり、放牧や収牧の瞬間にも立ち会えます。


新冠温泉ホテルヒルズ
太平洋を望む高台にあるログハウス風のホテルで、ここも静内エクリプスホテルに負けず劣らず朝食バイキングが美味しかったです。新冠ホロシリ乗馬クラブからも近く、温泉のみの利用も可能ですので、乗馬やサイクリングの〆のひとっ風呂にも最高ですよ。

旅人の宿 ふかふか亭
ふかふか亭は、サラブレッド銀座の終点近くにあり、周囲は放牧地で街灯もほとんどないため、夜に外に出ると満天の星空が広がります。ご夫婦で営まれるアットホームでこじんまりとした宿で、夕食のエゾシカのビーフシチューは絶品でした。


静内エクリプスホテル
ホテル名になっているエクリプスは、昔活躍した英国馬の名前です。ウマ娘ファンならその名前にピンとくる方もいるのではないでしょうか。
このホテルでは北海道で一番美味しい朝ご飯がいただけると評判で、朝のバイキングは種類が豊富でどの料理のクオリティが高く、また泊まって食べに来たいと思えるくらいでした。



浦河優駿ビレッジAERU
ウイニングチケットらが暮らす浦河優駿ヴィレッジAERUは、乗馬、パークゴルフなどのアクティビティも楽しめる複合宿泊施設で、ここではウイニングチケットのコンセプトルームに宿泊することができます。食事のクオリティも高く、2泊もしてしまいました。



まとめ
名馬に会いたいという思いから馬産地巡りの旅に出かけました。鉄道がなくアクセスが不便といった側面はありますが、延々と続く緑の放牧地を眺めながらのサイクリングは新鮮です。
他にも見所は沢山あり、今回紹介できたのはごく一部です。日高振興局のWebサイトには、サイクリングマップやサイクリング関連の動画のリンクがあります。そちらもぜひ見てみてください。
再度になりますが、馬産地は観光地ではなく、見学には独自のルールとマナーがあることを知っておく必要があります。そして、見学する際は『競走馬のふるさと相談所』で確認することを忘れないようにしてください。
皆さんの馬産地巡りの旅が記憶に残る素晴らしいものになることを願っています。
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