こんにちは。ノブです。
WahooさんからELEMENT ROAM V2をご提供いただきましたので、今回はサイクルコンピューターのレビュー記事です。
ロングライド志向のサイクリスト目線で、普段使っているGarmin Edge 1030との違いについてまとめていきたいと思います。
Wahoo ELEMENT ROAM V2
- パーツ番号: WFCC6
- 寸法: 3.56″ x 2.34″ x 0.8” (9.05cm x 5.95cm x 2.05cm)
- 表示サイズ:2.7″ (6.9cm)
- 画面解像度:240×400
- 重量: 93.6g
- 電池:USB rechargeable via USB-C
- 電池寿命:17時間
- 防水性:IPX7(水深1.5mまで防水)
- 人工衛星対応:GPS, GLONASS, BEIDOU, Galileo, QZSS, SBAS, NavIC
- Operating Temperature: -4°F to 158°F / -20 to +70 deg C
出典:Wahoo公式サイト
外観レビュー
内容物
ご提供いただいたのは、バンドルキットです。ROAM本体、ステムマウント、アウトフロントマウント、USB-TypeCケーブル、結束バンド、取扱説明書に加え、スピードセンサー、ケイデンスセンサー、ハートレートセンサーが付属しています。

単体とバンドルキットの同梱物の違いは以下の通りです。
ELEMNT ROAM V2単体 | バンドルキット |
ELEMNT ROAM本体 インテグレーテッドアウトフロントマウント ステムマウント 結束バンド クイックスタートガイド | ELEMNT ROAM本体 インテグレーテッドアウトフロントマウント ステムマウント 結束バンド クイックスタートガイド TICKR心拍数センサー Wahoo RPM Speedセンサー RPMケイデンスセンサー |
本体重量
実際に計ってみたところ重量は100gでした。公称よりほんの少し重いようですが誤差の範囲ですね。

マウントの形状
裏の爪はWahoo独自の形状で、専用のマウントが必要です。GarminEdgeと比べても爪の形状が異なることからも、Garminマウントとは互換性はありません。

基本スペック比較
次にメインに使っているGarmin Edge 1030との比較です。ROAMは使用時間で劣りますが、ナビで使える人工衛星の数は7つと群を抜いていました。また、Edge 1030はMicroUSB(※Edge x40シリーズではType-Cに対応)ですが、ROAMはUSB Type-Cに対応しており、1030よりも充電時間の短縮が期待できます。
Wahoo ELEMENT ROAM V2 | Garmin Edge 1030 | |
サイズ | 59.5 x 90.5 x 20.5mm | 58 x 114 x 19 mm |
重量 | 93.6g | 123 g |
防水性能 | IPX7 | IPX7 |
使用電池 | 充電式リチウムイオン | 充電式リチウムイオン |
充電タイプ | USB-C | MicroUSB |
電池寿命 | 17時間 | 約20 時間 |
人工衛星 | GPS GLONASS BEIDOU Galileo QZSS SBAS NavIC | GPS GLONASS みちびき(補完信号) |
動作温度範囲 | -20℃ ~ 70℃ | -20℃ ~ 60℃ |
解像度 | 240×400 | 282 x 470 |
液晶サイズ | 2.7インチ (69mm) | 3.5インチ (88.9 mm) |
内蔵ストレージ | 32GB | 16 GB |
使ってみた感想
設定編:初期セットアップは簡単
初期セットアップはELEMENTアプリのインストールがまず必要です。その後、本体に表示されるQRコードを読み取ることでスマホと同期するようになり、あとはアプリから項目を設定して完了でした。

初期セットアップ後の設定変更は、スマホとサイコンのどちらでも変更が可能でした。試しにサイコン側で変更したところ、即座にスマホアプリにも反映されました。サイコンとスマホアプリはリアルタイムで同期しているようです。
どちらにも同様の設定項目があるのですが、細かなところはスマホアプリから行った方がやりやすかったです。
設定編:世界中のマップをインストール可能
地図も世界各地のものが揃っており、スマホアプリからダウンロードするだけ。Garminの場合、地図を別途用意してインストールしなければならないため、手順の簡易さは群を抜いていました。

設定編:ナビのルート転送が非常に楽!
ROAMにルートを送る方法はいくつかありますが、Webサービスとの同期が一番楽です。自分は主にRideWithGPSでルートを作成しているのですが、アプリと簡単に連携できますし、ルートが同期されるのもすぐで、あとは選択してROAMに転送するだけでした。
こうしたアプリ経由のルート転送はGarminも可能なので、もはや当たり前の機能なのかもしれませんが、やはり便利ですね。

ただ、表示された情報に気になることがありサポートに問い合わせたところ、現在はPOIは反映されない仕様とのことでした。そのため、例えばブルベのPCをサイコンのマップ上に表示するようなことはできないようです。
代わりにカスタムキューを使用して、ライド中に情報を表示させる方法になるようです。
設定編:リルート機能は無効化可能
ナビの指示通りに進まずルートの外に出ると、警告が出て復帰ルートを自動計算するリルート機能が既定で働きます。便利な機能ではありますが、ブルベにおいてルートミスや寄り道をしたら同じルートで復帰しなければならないので、これの無効化は必要と考えています。実際、Garminでも無効化しています。
このリルート機能を無効化する方法についてもサポートに問い合わせてみたところ、アプリからオフにすることが可能と回答をもらいました。

走行編:画面の視認性は良好だが……。
続いて、実際に走行した際の感想です。まずは画面について。色が鮮やかで発色がよく、文字のフォントも読みやすかったです。レイアウトも整理されていて、一緒に使っていたGarmin Edgeに比べても直感的に情報が理解しやすいと感じられました。

ただ、LED機能についてはちょっと……。画面の上と左隅にあるLEDライトは、現在の速度帯やナビの右左折などを指示してくれるという、他のメーカーにはないWahoo独自の機能です。
ですが、走行中は景色や前方に集中していてサイコンに目を向ける頻度が少ないため、LED発光の情報に頼る機会は殆どありませんでした。結果、バッテリーの節約もしたいのでオフにしています。
できれば、LEDの領域は液晶画面になっていて欲しいですね。さらに大画面になれば、目を向ける一瞬で得られる情報の質が高まる気がします。
走行編:ボタン式であるメリットは大きい!
普段使っているGarmin Edge1030は直感的に操作のできるタッチパネル式です。そのため、ボタン式のROAMの使い始めは操作がしにくいと感じていましたが、しばらくするとまったく気にならなくなりました。

実はこのボタン式、個人的にかなり気に入っています。というのもタッチパネル式は押し間違えることも多く、画面をスライドするつもりがライド終了確認画面を出してしまい、危うく終了しそうになったことが何度もあります。それがブルベ中も起こるものだから堪ったものではありません。
また、タッチパネルは雨で誤作動することも多く、先ほど問題視した現象が雨水によっても起こるため、雨天走行の多いブルべにおいてはタッチパネルのメリットを感じていません。その点、ROAMは雨に濡れても操作性は変わらないため、安心感がありました。
走行編:サミット機能
GarminにもClimbProというヒルクライムの情報表示機能がありますが、Edge1030ではナビを使っているときだけの機能(Edge x40シリーズはフリーライドも可)です。しかし、ROAMではフリーライド、ナビのどちらでもヒルクライムの情報表示が可能でした。
ナビ使用時の場合、ルート上にある坂を予め検出していますが、フリーライドの場合は、ルートをリアルタイムでチェックして坂を検出し、近づくとアラートとともに表示してくれます。普段のちょっとしたサイクリングでも坂の情報が表示されるのは新鮮でした。
また、坂の検出頻度にも大きな違いがありました。Garminは「これは坂だろ!!反応しろ!!」と思うようなことが多々あるのですが、逆にROAMは僅かな起伏も検出します。これは既定で『All Climbs』に設定されているためで、Garminだと300キロ走って20か所前後でも、ROAMだと80か所以上もあったなんてことがありました。設定を『Medium&Large』や『Large』に変更することで検出数を調整できますが、ROAMのシビアな検出具合には舌を巻きました。
それにROAMが細かくヒルクライムを検出するような場所でも、Garminはまとめて1つの長い坂と検出することもありましたし、両社のアルゴリズムの違いが出て興味深かったです。

走行編:ナビの方向指示は改善求む
ナビではルート上に矢印が表示されて進行方向が把握しやすく、曲がる際は画面の指示とアラートで把握することができます。
郊外の長閑な道を走っている時は気にならなかったのですが、細かな路地を進むときは右左折の指示が端折られてアラートが鳴らないことも多く、複雑な道こそ指示が欲しいのにあまり役に立ちませんでした。鳴らないときはマップを見つつ分岐を確認するのですが、表示される残り距離は実際とは10~20mほど誤差があるので、さらに混乱する元になってしまいました。

ちなみに、Garminにもまったく同じルートを走らせましたが、すべての分岐でアラートが上がり、迷うことはありませんでした。Garminはバッテリー節約のためGPSのみなので、衛星の精度の違いは考えられず、ソフトウェアの純粋なアルゴリズムの違いと思われます。
もちろん、過去にGarminも分岐で指示してくれないことはあります。ですが、その頻度は低く、ナビ機能においてはGarminの方が優れているように感じられました。
走行編:マウントの固定具合 落下の可能性はある?
簡単に脱着できる割にしっかりと固定され、これまで500㎞ほど走りましたが、すっぽ抜けるようなことはありませんでした。ただ、Garminの純正マウントで走行中に外れて落下させ修理に出した経験があるので、楽観視はできないと思っています。
ROAMにはネジが付属していてサイコンとマウントを固定することができます。これはUCIルールでサイコン重量をバイクの一部として計上するための仕様らしいのですが、落下防止対策にもなりそうです。

ですが、サイクリングでは休憩時間に充電するなど外す頻度が多いので、ネジ固定は現実的ではありません。
ROAM本体にストラップを取り付ける穴が欲しいと思っていたのですが、どうやら専用の脱落帽子ストラップがあるようでした。
走行編:充電しながらは可能?
サポートに問い合わせたところ、充電しながらの利用は可能と回答を得ました。ただ、USBポートがむき出しになるので防水性能は著しく下がります。
GarminEdgeシリーズのような、防水性能を保ったまま使える拡張バッテリーの登場を期待したいところです。
インドア編:KICKRスマートトレーナーコントロールが面白い!
これはWahooならではの機能です。なんと、ROAMにスマートトレーナーKICKRをペアリングすることができ、ROAMのルートデータを用いた勾配負荷トレーニングが簡単に行えます。
例えば富士スバルラインのコースをRideWithGPSなどで作成して読み込ませれば、自宅に居ながら富士ヒルの練習ができますし、KICKR CLIMBを持っていれば、勾配の変化で臨場感がより出るようになります。

試しにヤビツ峠でやってみましたが、確かに勾配の変化はよく似ていて面白かったです。これで連動する実際の映像もあれば最強なのですが、それは今後の技術発展に期待したいと思います。

※ROAMとは別の話ではありますが、Wahoo RGTというバーチャルサイクリングアプリではリアルルートを再現するマジックロードという機能があるようです。
KICKRとCLIMBのレビューもしています。スマートトレーナーが気になる方はご一読ください。
まとめ
画面が鮮やかでレイアウトも綺麗。視認性が高く、情報を直感的に捉えやすいサイクルコンピューターです。
また、バッテリーも長く持つので300㎞ブルべまでなら問題なく使えそうです。ただ、400㎞以上はちょっと心許ないですね。その点、Garminは単体でもバッテリー持ち時間が長く拡張バッテリーを接続できるので、600㎞でも安心して運用ができ軍配が上がります。また、ナビの精度の面でもGarminのほうが安定していました。
ROAMが向いているのは、レース志向な人、一度に200㎞未満の距離をフリーに走る人でしょうか。ワンデーライドに向いていると感じました。
また、勾配が小数第一位まで表示されるのでヒルクライムにも向いていると思います。Wahoo KICKRを持っていれば、連携させてリアルな峠をトレースするのも面白いです。
Garminとはまた違った使い方のできるサイクルコンピューターですので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
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